(株)学研エデュケーショナル不当労働行為事件

                             2026年10月19日

· 事件の概要

本件は、株式会社学研エデュケーショナル(以下「会社」という。)との間で「学研教室契約」(以下「本件契約」という。)を締結して学研教室を運営している指導者ら(以下「指導者ら」という。)が、労働組合を結成し、会社に対して団体交渉を申し入れたところ、会社は指導者らの労働組合法上の労働者性を否定し、団体交渉を拒否したため、労働委員会に対して不当労働行為の救済を申し立てた事件である。

· 申立てに至るまでの経緯

(1)本件契約は、いわゆるフランチャイズ契約であり、契約形式上、指導者らは、自宅や貸し会議室などで自ら学習塾(学研○○教室)を開設・運営する個人事業主とされている。指導者らは、会員(主として小中学生〔の保護者〕)から支払われる月謝等のうち、本件契約で定められた割合をロイヤリティとして会社に納めることとされている。

(2)会社は、2020年8月、二大改革と表して、指導者らから、プロモーション費の名目で7700円、ICT使用料の名目で2200円を毎月徴収することとし(なお会員からはシステム環境維持費の名目で毎月220円を徴収)、当該契約変更についての同意を指導者らに求めた。これは実質的にはロイヤリティの値上げであった。

二大改革について、指導者らに対する事前の意見聴取等は行われておらず、会社が一方的に決定したものであり、また徴収された費用の使途などについての説明も不十分であった。そのため多くの指導者が、二大改革(契約変更)に納得できず、会社宛てに要望書を送付するといった動きに発展した。

しかし、個別に要望を伝えることでは、会社と対等な関係で協議をすることは困難であったため、2020年12月頃から、指導者有志で組合を結成する機運が高まり、2021年1月、全労連・全国一般労働組合東京地方本部一般合同労働組合学研教室支部が結成された。

(3)その後、組合から会社に対して団体交渉を申し入れたものの、会社が指導者らの労働組合法上の労働者性を否定し、団体交渉の実施を拒否したため、2021年11月、組合は東京都労働委員会(以下「都労委」という。)に不当労働行為の救済を申し立てた。

本件の争点は、指導者らの労働組合法上の労働者性であった。

· 都労委命令及び再審査申立て

2年以上に渡る調査を経て、2024年4月11日、都労委の命令が交付された(以下「初審命令」という。)。初審命令は、指導者らの労働組合法上の労働者性を否定し、組合の申立てを棄却するものであった。

初審命令は、労働組合法上の労働者性の判断に関して、多くの裁判例等で依拠されている平成23年の労使関係法研究会報告における判断基準には存在しない「相当程度の事業者性(※顕著な事業者性ではない)」なる概念を持ち出して、指導者らの労働者性を否定する不当な判断であった。

そのため組合は、同月19日、中央労委員会(以下「中労委」という。)に再審査申立てを行った。

· 中労委における和解の成立

(1)再審査申立てから約2年後の2026年6月12日、中労委において和解が成立した(以下「本和解」という。)。本和解は、大要、以下の3点を会社に約束させるものであった。

①会社が、指導者らからの相談窓口を設けること。

②会社が、年1回、会社と指導者らとが学研教室の運営について対話するための集会(対話集会)を実施すること。

③会社が、重要な施策を新設または変更する場合には、事前に指導者らに提案し、その意見を聴取すること。

(2)なお本和解成立後、会社から指導者ら全体に対して、相談窓口の開設及び対話集会(会社が設定した名称は「GEエリアミーティング」とされた。)の実施についてアナウンスがされた。

以上